(追記: 選挙権は3ヶ月要件などもあるので、詳しくは総務省「選挙人名簿」などをご覧ください。本記事はあくまでも可能性について紹介したものです。)
もうすぐ参院選。選挙権が18歳に引き下げられる「18歳選挙権」が日本中で話題になっています。
社会学者の古市憲寿氏が「日本のおじいちゃんおばあちゃんが、いろいろ考えて選挙に行っていると思いますか?」などとアドバイスしたことがネットで燃えていたり、ぺこ&りゅうちぇるを大胆に起用したTOHYO都のキャンペーンが話題になっていたりです。
先日、我々リマンベのメンバーから海外向けメディアIGNITITONに寄稿した記事でも触れましたが、同じ件でツイッターで話題になった投稿もありました。
そういえば、選挙権18歳引き下げで思い出したのが長万部。あそこ、全寮制の理科大生が全員住民票を移すことになってるみたいだけど、これからは選挙人口の1/10が理科大生になるから、町長選や町議選で簡単にひっくり返せることになるわけで、うわー、いろいろ大変な人が出てきそう…
— こま☆えんどう (@koma_endo) 2016年1月7日
長万部町はどのようになっていくのか…。
そこでリマンベは、長万部にて寮生活をしていたことがある東京理科大学基礎工学部の学生である岩堀さんと一緒に、「若者と政治をつなぐ」をコンセプトに活動するNPO法人YouthCreate(ユースクリエイト)代表の原田謙介さんにお話を伺ってきました!
NPO法人YouthCreate(ユースクリエイト)について
「若者と政治をつなぐ」をコンセプトに活動。「子ども・若者」が日本や自分の住んでいる地域へ主体的に関心を持ち、政治参加を行う、 「子ども・若者」の意見が政治・行政の議論の場に載る状況をつくり、政治への関心を持つことが「かっこいい」と思われる社会を作ることを目指している。
http://youth-create.jp
現代社会の授業で習ったくらいの知識しかないけど、投票に行っていいんですか?
リマンベの岩堀です。本日はよろしくお願いします!
リマンベです。よろしくお願(ねが)いします!本日(ほんじつ)は政治(せいじ)のことをわかりやすく楽(たの)しく教(おし)えてくれるユースクリエイトさんに、「18歳選挙権(18さいせんきょけん)」のことや、長万部がどうなってしまうのか、もろもろお伺(うかが)いしたいと思(おも)っています!よろしくお願(ねが)いします!
(新聞とかでよくある読みがなだ…)
…よろしくお願いします!
長万部町の若者の投票行動に注目が集まる
さて、こちらが巷で話題の北海道・長万部町の年齢別人口分布図なのですが…。
(スッ)
これはすごい。
長万部町は18〜19歳の人口が異様に突出しているのです。
僕も通っていたのですが、長万部町には全寮制の東京理科大学の基礎工学部のキャンパスがあり、さきほどの18〜19歳のほとんどが大学生なのです!
長万部町は「18歳選挙権」の影響を日本一受けるまちに?
リマンベで調べてみたところ、2016年2月末時点での長万部町の人口は5,910人。うち、理科大生の人口は358人。総人口の約6%を占めています。
(参考:長万部町役場 平成28年 町の人口)
学生の割合でいえば、「大学のまち」として有名な京都と同じ割合ですが、ほかの全寮制大学がある自治体のデータと比較しても、その差は歴然。圧倒的なんです。
へぇ〜!これはすごいですね!
そして着目すべきは18歳~19歳だけで人口の約6%という点です。この割合がどのくらいのインパクトをもたらすかというと、長万部の町長選の結果を見てみると
出典:長万部町町政情報
平成26年の選挙は、2211票、1844票で367票差。
平成22年は、2477票、2151票で326票差。
平成18年は2472票、2233票で239票差です。
さきほど説明しましたが、2016年2月末時点での長万部町理科大生の人口は358人です。
というように、長万部の理科大生の人口だけで町長選をひっくり返せるかもしれなかったりするんですよね。
毎回拮抗する長万部の選挙
今回のオファーをもらってから長万部のデータを見ていましたけど、長万部の選挙は毎回拮抗するみたいですね。
そうなんです!18歳選挙権以降は、東京理科大学の学生だけで毎年拮抗する町長選挙をキメることができるかもしれなかったり、さらには、前回の長万部町議会議員選挙の当選ラインは238票となっていることから、理科大生だけの票田で地方議会に議員を送り込むこともできるかもしれないのです!
出典:長万部町町政情報
これはすごいことですよね…。
このように、東京理科大長万部キャンパスの学生は長万部町の政治に強い影響力をもつようになるのです。ということで、改めて18歳選挙権時代を迎えるにあたり、投票や選挙について教えていただきたくお伺いさせていただいた次第です!
どういうまちにしていきたい?
まずは投票のときの立候補者の選び方について伺ってもよいでしょうか?
まず選挙はつまりなんなのかっていうと、「自分のまちの今後がどういうふうになっていくかを決めるもの」ですよね。
はい!
そして誰に投票するかで考えておきたいのが
・自分がまちにたいしてどういうのを考えているか
・どういうのに困っているか
・どういうまちにしていきたいか
といったこと。
それをもとに、町長候補とかの政策を見たときにどっちが近いかを見ていくんです。
なるほどです!
あとは、候補者が政策がどれくらいしっかり出しているかを見ていくのが重要ですよね。
全国のどのまちにも言えることですが、人口が減ってきて少子高齢化が進んで、まちの財源にも限りがあります。選挙に出るひとはなんでもかんでも「出来る」って言いがちですが、実際はそうもいかないですよね。
たしかに。
切り捨てるって言い方ではないですけれど、教育なり医療なり「この政策だけはしっかりやります」っていうオリジナリティがある人がいいですよね。
言い換えれば、「伝えようとしている人」です。選択と集中をして、このまちをよくしていきますっていうことです。
ありがとうございます!あと、選挙に対する不安があって、授業で選挙について勉強するは外枠だけ、「選挙権は何歳から」とかだけじゃないですか。理系の人間だと勉強が中学校だけで止まっているんですよね。その程度の勉強で選挙に行っていいのかって思ってしまいます。
理科大の基礎工学部の学生は長万部には1年しかいませんので、町のこと、選挙のことをしっかりインプットしないとなとも思います。
そういう不安もありますよね。そこで、ユースクリエイトでは選挙についての実践的なワークショップをやっています。
中高生向けには、「模擬選挙」と呼ばれるなどですね。
【東京成徳大学高校 出前授業】
今日は生徒会選挙のあり方に端を発した生徒さんの問題意識をきっかけに…という新しい授業づくり!
生徒会がとった選挙に関するアンケートの結果発表や公園ワーク、簡易版模擬投票など…盛り上がりをみせました。 pic.twitter.com/JJzRPeGUuN— YouthCreate (@YouthCreate_PR) 2016年3月11日
面白そう!
ほかには総務省とSCHOOL OF LOCK!との企画で、全国でワークショップなども行いました。
【4月17日にSCHOOL OF LOCK!、広瀬すずさんとイベントしました】
イベントの詳細がSCHOOL OF LOCK!のHPに掲載されましたので、見てみてください!https://t.co/QpVQaxNx3d pic.twitter.com/PCP3GEEpFg— YouthCreate (@YouthCreate_PR) 2016年5月23日
あとは、インターネットの双方向性を活用した「ASK TOKYO」というキャンペーンや、「Voters Bar」という政治家と若者が気軽に交流を持てる場をつくろうと、全国に広げていく活動もしています。
面白そう!
けど、それだけでは弱くて、私たちユースクリエイトが行くのも一回の授業しかないので、きっかけになればいいのですが、まだまだ充実させたいところです。
もうひとつ大事なのが、「18歳に対して政治側とか候補者が何を伝えるか」です。
はい。
投票する側も政治家もどっちも寄っていかないといけないけど、先によっていくのは政治家側だと思います。若者にとってわかりやすい雇用とかの話をしていくべきですよね。
あとは、「これは知ってるだろう」という前提でいろんなことを話していることです。たとえば「学生向けの政策はこうなります!」って言われても、「そもそもこれまではどうだったの?」って話をしないとわからないですよね。知っとけって言われてもわかるけど、そもそもしらないのは興味を持てないので。
たしかに対高齢者の政策とかだと、自分たちは関係ないのかなって思ってしまいます。
そこで、奨学金の話とかになれば、「おっ!」て思うのですが。
ですよね。それと、さっき言っていた「現代社会しかやってない自分が投票にいっていいんだろうか」って話。
それはすごく大事な話で、「選挙に興味なくはないけど自分はわからないし、わからない自分が大事な一票をすること」の不安感ってあると思うんです。
そのためにも勉強が必要ですよね?
その勉強しようってのはもちろんいいし、そういう人でもわかりやすいような情報を届けることが大切ですよね。
さすがに「選挙について考えた時間は0分」ではだめですが、18歳の意見も求められてるんだっていうが今なんですよね。
なるほどです!
ぼくらの一票が与えるインパクト
東京理科大の長万部キャンパスは、じぶんたちが寮を出た後も、その環境がつづきます。
自分が長万部のことを全然知らないとしても、その状況で1票をもつわけじゃないですか。
町長選挙でも数百票差になるから、インパクトがある。「長万部の町で投票をすること」について、少し重みを感じます。
うん。
寮の生活が堅すぎたり、長万部で変えて欲しいところはあるにはありました。
時間もあるし、自分たちが選挙に行って投票することでなにか変われば行くかも、と思いました。
それって、次の年に住む後輩も同じように思うはずですよね。長万部の寮に住む大学生の今後として考えること。
2年後の後輩にとっては良いことがあるかもしれないですよね。
あと、ちょっと話がそれるかもしれませんが、僕はそういう町との関わりがもっと欲しかったです。
たとえば、町の人と仲良くなって家庭教師をしてホタテをもらったり。
長万部では理科大生はアルバイトができないんですよね。非公式で家庭教師なり力仕事とかしたりした人はいましたけど。
行政がそういう関わりの機会をつくろうって動いたっていいですよね。
学生をちゃんと町の力にすることで、いくらでもできることはあると思います。
まちとの関わり方は「投票」だけはない
あと、選挙じゃなくても、ちょっとしたアンケートで関わることもできますよね!
例えば「長万部の新しい駅にいれるテナントについて」みたいなものだったり。
そっちのほうが自分たちには身近に感じます。
自分たち理科大生の人数の力も実感できるし、自分たちの住んでいる長万部に興味がわくと思います。
ちなみにこちらは長万部駅についての記事です。ご査収ください。
(スルーしつつ)…つまり、「選挙以外にも気軽に声をあげられる仕組み」、ですよね。
そうです!あとは長万部の毛がにまつりというイベントの催し物であった「毛がに早食い競争」とか「玉入れ競争」ですとかはエントリーしやすかったですし。
町への関わり方について、そういう身軽さとか手軽さはいいなと思いました。
ゆるく参加できるのはいいですよね。そういう何気ないきっかけから町に興味をもってもらえるとすごくいいかなと思います。
あと、印象深かったことがあるのですが、学寮祭のポスターを長万部の商店街の人たちなどにお願いして、町中に貼ってもらったことがあります。
そのとき、自分たち学生が長万部に占める割合のインパクトの大きさを感じました。
こういう効力感というか実感が大切なのかも、と思いました!
若者の政治参画意識はどう変わるか
いかがでしたか?18歳選挙権について、選挙についてNPO法人YouthCreateの原田謙介さんにお伺いしてきました。
参院選の投票日は2016年7月10日。
医療や介護、保育・子育て支援、雇用や経済対策など、あらゆる問題は地域とは切っても切れないものです。自分たちのまちをどうしていきたいのか、じっくり考えてみませんか?
“東京理科大がある長万部町、18歳選挙権の影響が凄まじいと話題に” への 4 件のフィードバック
コメントは受け付けていません。